蔵書問題解決策を住まいの個性にした夜を旨とする家
中古マンションの立地は良い場合が多く、生活する面でメリットがあります。
近頃のリノベーション空間といえば、壁をはがし素地にペンキで仕上げることが多いです。
しかし、そのような空間は長年住まう場合に果たして相応しいのでしょうか。
時代の目新しさだけではなく、長年住まうことを見据えた建築のようなリノベーションであれば、
制約されたスペースの中にでも原風景が得られるのではないでしょうか。
今回の提案(自邸)では、そのマンションという敷地(環境)の中でどのような景色をつくることができるかがテーマとなりました。
【聞いて】(依頼主のご要望)
①風が抜ける間取り。
②夜メインに落ち着きのある空間にしたいので、窓ごとにカーテンは極力使用しない。
③本が多い。
④壁をはがし素地にペンキで仕上げるという近年のリノベーションの仕上はNG。
⑤バルコニーの出入口は腰窓の高さ解消したい。
⑥素材感を大事にしたい。
⑦キッチンの位置は変えたい。壁付けでOK。
⑧来客対応できるスペースがほしい。
【訳して】(KMAの仮説)
①壁を極力設けない。
②上質な落ち着きを求めて障子を採用。
③壁面に本棚。
④どんな施工会社でもできる材料や方法で独自の空間をつくれないか。
⑤何かと兼ねた段差を設ける
⑥手足が触れるところは極力素材感を感じるもの。
コストの関係ですべて無垢フローリングは難しい。
⑦床上げして配管ルートを確保。食器棚はセンターになる。
⑧来客対応できて、普段使いできる
【最適解】(青写真)
①間仕切りはフルオープンに動く壁のように使える障子。軽いし開閉しやすい。
②ふたつ並びの窓に5枚障子。空気層ができて断熱効果向上。
③本棚は造作。みせる本棚としてリビングに。重さに耐えられるように厚めの集成材。
④汚れの取りやすさを考えてクロス。メンテナンスのしやすさを考慮して特注の材料は使用しない。
⑤間接照明を仕込んだ縁側を兼ねた段差。
⑥無垢フローリングと構造用合板を床材とした。
⑦中央に配置した食器棚はミラー張りにして存在感を消すことに成功。
⑧開かずの間にならず、玄関からもリビングからも使える和室。
【こういう方におすすめ】
・普通の材料でちょっとフツーじゃない空間をお求めの方
・和モダンのインテリアをお考えの方
・障子や建具にこだわりたい方
・住まい手の思いや空間にぴったり造作家具を採用したい方
リフォーム前
4DK。部屋が小割になっていた上に排水対処のために廊下が一部床上げされていた。全面的に床上げして生活空間はフラットな床にしようと思った。スケルトンに解体中、既存図面にはなかった配管が現れた。リノベーションのあるある噺だが、やっかいなことになったなぁと思った反面、それを楽しむことにした。それも自然を受け入れることになるだろう(とプラス思考に)。
リフォーム前のDK
リフォーム前のDK2
リフォーム前の洋室
工事中|スケルトン状態
工事中|図面になかった配管が出てくる
工事中|大黒柱のある和室を望む